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UNDOKAI WORLD CUP 実行委員会

ローカルに眠るコンテンツの力を具現化する。 日本にしかない『運動会文化』で町を結んだ淡路島・UNDOKAI WORLD CUP”

ローカルに眠るコンテンツの力を具現化する。
日本にしかない『運動会文化』で町を結んだ淡路島・UNDOKAI WORLD CUP”

今年で4回目の開催──地域を挙げてのイベントにまで成長した淡路島の『UNDOKAI WORLD CUP』。同イベントは「地方創生」「健康」「文化の発信」という3つのコンセプトを基に、「誰でも参加できる、世界で一つだけの運動会」を実現させています。

45の国と地域から延べ69,500人の来場者を誇る同イベントですが、驚くことに初年度の開催を支えたのはわずか4人のメンバーでした──。コミュニティの単位で開催される運動会を、地域の規模で成功させたそのノウハウと原動力は何だったのでしょうか? 『UNDOKAI WORLD CUP』立役者である大出さんに立ち上げと成長の軌跡を取材しました。

「日本の運動会文化を復活させたい」暗中模索だった立ち上げ期

大出さんは、2016年に仕事で淡路島に赴任。地域のコミュニティーが減少するなか、「淡路島を盛り上げるために何かできないか」と自分に問いかけたのだと言います。

日本ではコミュニティが減少しているという言説を聞くこともありますが、事実コミュニティという考え方自体がふわっとしていて、行政が予算をつけてコミュニティの構築に取り組むことは難しい。

コミュニティをつなげるものは何か?大出さんがたどり着いたのは、日本人の誰もが経験したことのある「運動会」という文化の再現でした。

大出さん:オリンピック競技になるような種目には勝つための“方程式”や“お作法”のようなものがあるけれど、運動会にはそこまで厳密な競技性はなく、町のコミュニティを結びつける側面があると考えました。そこで誰もが「参加する楽しみ」と「観る楽しみ」の両方を得ることができる「運動会」をつくろうと思ったんです。

地方で各自治体主催によって行われる盆踊りもそれに近いですよね。別にお祭りで踊ったからといって、数値による変化を見込めるわけでないけれど、年に1度集まって何かを一緒にやることでエネルギーが行き交い、新しい“何か”が生まれることも事実。

「クールジャパン」のように、運動会文化を地方に復活させて日本中へ押し出していこうと思いはじめました。ただ前例もなく、どのくらいの規模感でどの程度地元の人達や行政を巻き混んでやるのが適当なのかは暗中模索でした。

「運動会」を再定義。1年目の目標は「とにかく“画”を残す」こと!

立ち上げを志すも実績がないのが開催1年目。どのような試行錯誤を経て、企画を実現させていったのでしょうか。

大出さん:まず「運動会とはどんなものか」を改めて考えるところから始まりました。たとえば、順位付けを奨励しない学校が多いなかで、順位をつける意味はどのくらいあるのか。そういった細部まで思想が行き届いたものでなければなりません。

競技を決める上で指針となったのは5つ。大枠から何を競技にしたら盛り上がるのかといった細かな指針を考えるようにしました。

  1. 皆が楽しめること
  2. プロでも素人でも勝てるチャンスがある競技にすること
  3. 出場者の年齢層がバラバラでもいいこと
  4. 家族でも楽しめること
  5. ただし、スポーツとしての要素が残っていること

行政に参画してもらおうにも具体的な開催のイメージを伝えることができなければ、どのようなかたちで携わればいいかが分かり兼ねてしまいます。なので初年度はコアメンバーを中心に、会場の抑えからプロジェクトの進行まで、開催に関わるありとあらゆるタスクをこなしたといいます。

大出さん:協賛企業を募る為に淡路島中を巡りました。「ヒト、モノ、カネ何でもいいから協力してくれ!」って(笑)。トラブルもありましたね。開催間近になって駐車場が足りないことに気がついたんです。急遽空き地を借り、メンバー総出で芝刈りを行いました(焦)。

それでも1年目には、100社規模の協賛企業が集まり、盛況のなかで閉会。何とか走り切った初開催でした。

ターニングポイント。第一回優勝者は地元淡路島民。

ターニングポイントになったのは、第一回の優勝者が淡路島民だった事だと振り返ります。優勝賞品『地中海クルーズ』が口コミで広がり、2回目以降は地元参加者の目の色が変わったのだと言います。参加者が見えているから地元の人達も応援し、できれば仲間に勝ってもらいたいし、悔しい思いをすれば、翌年も頑張りたい気持ちにつながる。イベントが「自分たちの」運動会として地域に定着していきます。

大出さん:そういえば2年前は、花火を打ち上げたんです。その日は漁港を全部止め、漁業に携わる人たちが「ウチで船出すわ」と、自ら警備を引き受けてくれました。会場の抑えは、行政サイドと老人会や地元の有志達が連携してプロジェクトを進行してくるようになりました。
運営スタッフも、地元ボランティアを始め、企業や大学のゼミからも参加してくれるようになります。

さらに、陸上自衛隊第3音楽隊によるコンサート、マーチングの全国大会常連校である滝川第二高校吹奏楽部のパフォーマンス、梅花女子大学チアリーディング部のチアリーディング体験等、運動会を彩るコンテンツも充実するようになりました。

すると、これまで関わり方を模索していた行政側からも積極的に運動会へ参加する姿勢が感じられるようになります。

そこには、「運動会」という名目のもとそのコンテンツを使って、ヒト・モノ・コトが動き、地方創生の要素がしっかりと盛り込まれていたからではないでしょうか。

掘ればいくらでも見つかる、地方の優位性。町に眠るヒト・モノ・コトをどう活かすか

ローカルに眠るコミュニティを掘り起こし、町ぐるみの企画を成功させた大出さん。改めて地方でイベントを企画することの意義についてこう語ります。

大出さん:数値化されていないだけで、地方の潜在能力にはすさまじいものがあります。ただし、“地元のルール”だけでやっても成立は難しい。きちんと活かすためには、“都市のルール”をある程度持ってその中で慎重に進めていかないといけない。

もちろんその土地ならではのルールで、優先すべき部分はあると思います。それでもやっぱり都市のルールをある程度念頭に置きながら、地域から上がってきたアイデアをさらに引き伸ばすことを心掛けています。

具体的にローカルに根ざした人を巻き込む上での秘訣について以下のように語ります。

大出さん:都市の合理的判断が、地方にも当てはまるとは限らないと思うんです。それぞれのローカルに眠る力を適切に引き出していかないと地方の魅力が活きてこない。

それでも地道な取り組みを通じて、多くの地元住民達が「自分達でもできるんじゃないか?」「一緒にやってみようか!?」「意外とやれてるじゃないか!!」という声が上がってくるようになれば、立ち上げた人の力がなくても継続できる仕組みができる。

そういう意味で、できるだけその土地のあらゆる人にとって接点が多いものを選びローカライズさせていくこと、もっと簡単に言えば、取り組みを『自分ごと化』してもらうことが大事だと思います。

開催5年目。さらなる拡大を目指して

開催4年目となった今年、運動会という名の下に沢山のコンテンツが溢れるイベントへと進化を遂げていく『UNDOKAI WORLD CUP』。今後の拡張性にも触れた上で、展望を以下のように語っています。

大出さん:運動会という名目ではありますが、それをキッカケに人が集まるようになると、地域のあらゆるモノとコトまでも引き寄せられてきます。

第4回目は、商工会が別日程で開催していた淡路島の食文化を楽しんでもらうグルメイベント『ええもんうまいもんフェア』を併催しました。相互の集客効果で、例年に比べフェアの売上も好調だったようです。

また、「なるべく多くの人の前で表彰してあげたい」という淡路市長の想いから、商工業の振興に貢献した方を称える『淡路市技能功労者表彰式』も運動会のプログラムの中に組み込みました。

こうして『UNDOKAI WORLD CUP』は、地域との連携を図り、自治体主催イベントを同時開催するイベントにまで成長していくのです。

立ち上げ期から、ただ「運動会をやろう」と周りに声をかけるのではなく、「楽しい運動会とは何か」「それを達成するためにはどんな必要条件があるのか」といった深い洞察と、「自分ごと化を促すには」といった人を動かす哲学があったからこそ、今日の『UNDOKAI WORLD CUP』につながっているのでしょう。

誰もが経験したことのある慣習や行事を再定義することは、地域コミュニティーの形成や活性化のヒントになるのかもしれません。

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Writerfull-sato.com編集部
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