フルサト | full-sato.comフルサト | full-sato.com

コト
nuovo

楽しみながら地域を守る! 新時代のアミューズメントパークnuovo (2)

まるでアトラクションのような重機操縦! 楽しみながら防災が身につく、新時代のアミューズメントパークnuovoとは? (2)

ヒト 全国に笑顔の輪を広げる民間団体・一般財団法人日本笑顔プロジェクト
トコ 災害のダメージから復旧していく町
コト 楽しみながら防災を学べるアミューズメントパーク

楽しみながら防災を学べるアミューズメントパーク「nuovo」を見事に実現した林さん。コロナ禍で7ヶ月間講習の実施ができずにいたにもかかわらず、9月〜12月にかけて合計約100人が受講。1000人の育成目標に対し、すでに200人達成とその勢いは止まることを知りません。


▲nuovoで重機講習を体験したオペレーターたち。重機体験の受講者は、意外にも主婦層が多いという。

重機の展示場になる

しかし、nuovoの構想を実現するには、たくさんの高価な重機が必要になります。全て購入すると、総額2000万円以上は用意する必要がありますが、林さん、まさか全てポケットマネーで用意してるのでしょうか…?

林さん「実は、スポンサーとしてnuovoに自社製品を提供してくださる企業さんもいらっしゃるんです。有事に活躍するモノは、その機能性を体験しないとその良さはなかなか伝わらない。たとえ試乗ができたとしても、アスファルトの平らなところでは実感しづらいんです。

なので僕たちのコースにあるモノは、全て有事に出動した際に僕たちが実際に役立つと感じたモノたちです。そんな場所ですから、営業しなくても大切さを伝えることができます。実際、製品を試しに一台置いてもらうと、本当に売れるんですよ。言うならば、nuovoは展示場のような機能も果たしているのです。」

そうやって、協力企業の物資が集まってくるのにも理由があります。実は林さんら日本笑顔プロジェクトの活躍により、使用していたバギーが注目を浴びる出来事がありました。

昨年12月、北陸地方は大雪に見舞われ、関越自動車道(以下、関越)で約2,100台が立ち往生するという災害がありました。活躍したのはnuovoの講習で使用していた全地形対応車(ATV四輪バギー)。林さんらはNEXCO東日本からの出動要請に応え、雪で塞がった道をバギーで通過。滞留車両に対して、飲料・食料、燃料や簡易トイレの配布などを行ったのです。

▲豪雪地で大活躍した全地形対応車(ATV四輪バギー)の「イエローキメラ」。林さんはバギー会社と連携してオフロードビーグル協会(OVO)の設立に携わった経歴も。

林さん「日頃の訓練が役立った瞬間でした。民間の僕たちでも役に立つことがあるんだと思う反面、対応できない部分もあって。現場に行ったからこそわかる災害時に必要だと感じたモノやコトを、すぐに実行できるのが民間の強さだと思い、関越出動から帰ってきてすぐに、バギーに15箇所のカスタマイズを施しました。あとは、民間企業に掛け合って温かい非常食の開発も進めました。」

林さんは、関越での役目を終えて小布施へ戻ると、すぐにバギーのカスタマイズを行いました。「お金はかかるが人の命には変えられない」と、バギー会社に掛け合って改造したバギーが、その後すぐに再出動。今度は自衛隊の先導役として大活躍を果たします。

林さん「バギーの代金はまだ全額払えていないです。(笑)でも一連の出動を経て、バギーの機動力が企業・民間問わず全国から注目された結果、バギー会社は新規で10台の発注をもらうことになったそうです。」

「楽しみながら身に付く防災」の仕組みを全国に水平展開させていく

大雪による関越への出動がメディアでも取り上げられると、なんと今度はアメリカ製のソリが2台届いたのだとか。重機はさらに充実し、次々と輪が広がっています。今後はどのような展開を考えているのでしょうか。

▲林さんのもとに届いた2台のソリ。関越での日本笑顔プロジェクトの活躍が海外にも届き、アメリカの企業から国内の販売代理店へ提供の申し出があったそう。

林さん「小布施町で作ったnuovoを、ここからいよいよ47都道府県に水平転換していくというのが今後の流れです。

台風19号の際、長野には約7万人のボランティアさんたちに来てくださいましたが、今はコロナウイルス感染拡大の影響で外から支援が呼べず、昨年9月の熊本で起こった台風には、ボランティアが現地へ行けなくなる事態が起きました。

直近でも、直近でも東北地方を中心に震度6強の地震が発生しましたが、僕たち日本笑顔プロジェクトでは緊急出動に備え、複数の地域にヘリを待機させています。やはり自分たちの地域は自分たちで守れる仕組みは必要だと、世間的な認知を広めていければと思います。」

「nuovoの仕組みを取り入れたい」という声が各地から上がっていたり、「実際に自治体の防災担当者が視察に来たりと、官民連携に向けた動きも広がりつつある」、と林さん。さらには企業が研修会を検討する機会も増えているそうです。

「平時を楽しみ有事にそなえる」。これはnuovoの掲げるスローガンです。大規模災害がいつどこで起きるかわからない今、やはり自分の地域は自分で守れる仕組みが必要です。今回林さんには、nuovoの仕組みをかなり詳しく話していただきました。「防災」+「農業」と2つの問題を解決できるnuovoのスキームを、あなたの町にも取り入れてみてはいかがでしょうか。

nuovo

防災を「楽しむ」という視点から構想された新しい体験型ライフアミューズメントパーク。

アバター
Writer西山 綾加

岐阜県出身。学生時代からイベント制作に携わり、制作会社勤務を経て、旅行会社に転職。社会人2年目、巡り合わせでライター業を始める。音楽コミュニティー「SHAKE HANDS」所属。座右の銘は「袖振り合うも他生の縁」。新たなご縁を求めてひとり旅に出ることが趣味。