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スポーツの楽しさを届けたい!アクリル運動部に学ぶ公民連携(2)

スポーツの楽しさを届けたい!アクリル運動部に学ぶ公民連携(2)

ヒト:アクリル加工の会社
トコ:スポーツ振興に頭を抱える大阪府・八尾市
コト:イベント開催で“めちゃくちゃおもろい街”に

共栄化学工業株式会社のグッズ販売・スポーツイベント部門として法人化したアクリル運動部は、B.LEAGUE参加チームのスポンサー就任をきっかけに、本格的に地域でのイベント開催に携わるようになります。2021年には自主企画イベント 「八尾キメラ」が大成功を収めるなど、地域からの信頼も日に日に高まってきました。

後半では、地域のなかでアクリル運動部がうまく立ち回ってくることができた秘訣や、今後の展望などについてお話を聞いていきます。

強みを活かして、まずは自分たちで全部やる。

活動をはじめてからの5年間で着々と実績を積み上げながら、八尾市でのスポーツ振興を一手に担うようにまでなったアクリル運動部。どのようにして周囲との信頼関係を築き上げ、そのネームバリューを高めていったのでしょうか?

稲垣さん「地方公共団体は基本的に(手放しで)お金をくれるところではないんですよ。だからぼくらは企画もお金も自分が出して、その実績は市にあげるっていうことを繰り返してきた。
うちとしてはそうしていくことによって、市から応援してもらえる環境をつくってきたっていう感じです。『アクリル運動部って何で儲けてはんの』ってみんな気になってると思いますけど、全然儲けてないですよ。全部出してるから(笑)。」

▲2021年3月に開催された「八尾バスケ祭り」の様子。八尾市の小学生を中心としたミニバスケットボールチームが多数参加した。

行政をはじめ、周囲からの信頼を築いていくのには涙ぐましい「先義後利」の精神があったようです。未来を見据えながら続けてきたそんな努力が実を結び、今では行政からイベントの際にバックアップをもらうことも増えたという稲垣さん。

さらに今回、アクリル運動部としても大きな一歩となる嬉しいニュースを知ることができました。

稲垣さん「今度、八尾市と協定を結ぶんですよ。行政では思い切った施策がなかなかできないから、ぼくたちが実働部隊になる。八尾市のなかに『魅力創造部』という対応部署をつくってくれて、産業のほうも共栄化学工業として連携していくことになります。」

▲アクリル運動部として共栄化学工業が制作する記念品を収納できるケース。時期や用途に応じ、スポーツイベントで活躍できるグッズを自前で制作できるのは、アクリル運動部の強みでもある。


▲一般社団法人バスケットボール女子日本リーグ(通称Wリーグ)の試合会場で使用している飛沫感染拡大防止用のパーテーション。団体ロゴを入れることで「特別感」も出る。

地域での持続可能なスポーツ振興を目指して。

八尾市との大きな協力関係を結ぶことができたアクリル運動部。そしてさらに、その先の持続可能な事業のあり方を見据えます。

稲垣さん「(ゆくゆくは)お金をもらうところを変えるという感じです。公共的な事業を行うことによって、企業さんにスポンサーになってもらったりとか。そういうところを目指しながら、行政とは一緒の方向を向いてタッグを組んでいく。

イベントというのは、人がいてなんぼ。1,000人、2,000人といれば盛り上がるし、その様子を見れば『すごいね』となる。でも、例えば八尾キメラは参加費がひとり100円ですけど、それをひとり1,000円にしたらどんだけいい企画にしても人は集まらないですよ。だから、協賛をもらってやるかとか、行政にもってもらうとか、そういう考えが大事です。

▲八尾キメラ2021には大勢の子どもたちが集まり、スポーツの楽しさを学んだ

極端ですけど、CSR活動の一環で大手の企業がスポンサーで入ってくれたらそれで済むことなんですよ。みんなに応援してもらったら、いい感じになると思いますけどね。2700社くらいある八尾市の会社が月1,000円出せば270万円集まる。そういうことができたら、ぼくらのやってることがマネタイズできるようになる。イメージはそんな感じですね」

子どもたちの未来のためという思いに共感してくれる企業が増えれば、八尾市での持続可能なスポーツ振興が実現できる。そう確信しながら活動を続ける稲垣さん。その裏側では、どんな八尾の未来を思い描いているんでしょうか。

稲垣さん「八尾生まれ八尾育ちだから、地元がよければそれでいいと思ってますね。とにかくまずは身近にいてる子どもたちのこと。放課後に学校で遊んで帰るということがまずないでしょ。

公園いったらいったで規制がたくさんある。親御さんは運動させたいからスポーツクラブに連れていく。そんなことしたら月謝がかかってきて、それを払えるだけ家庭がどれだけあるか。月謝2,000円くらいでも入れるところがある、みたいな情報をできるだけ伝えていくということをアクリル運動部の活動を通してやっていきたいですね。

今回のキメラでも、市内各教室の連絡先とか月謝はいくらなのかという情報を一つの冊子にまとめて配ったりしましたよ。イベントはキャンセルしたけど冊子は欲しいという声が聞かれたりして、それはそれで嬉しかったですね」

スポーツの力で、めちゃくちゃ面白い八尾のまちをつくる。

一人でも多くの地元の子どもたちに、スポーツの楽しさを届けたい。スポーツに触れる機会を届けたい。そんな強い思いを稲垣さんの言葉から感じることができます。そして、少し間をおいて、こんなことも話してくれました。

稲垣さん「要は、人口を増やしたいんですよ。人口減少は日本全体の問題。八尾市もいまは27万人かな。このまちの子どもの数を倍くらいにできるような魅力づくりをしたい。八尾にいったらめちゃくちゃ楽しいらしいでって言われるくらい。

国の人口は変えれないけど、移住という道を選んでもらうことはできるんじゃないかと思って。そういうことやっていきたい。そこでやりきれたら、それがモデルになっていく。そしたら真似してもらえばいいだけの話です」

▲アクリル運動部の母体である共栄化学工業株式会社のスタッフ。

稲垣さん率いるアクリル運動部が、スポーツでめちゃくちゃ楽しいまちをつくった先に、人口減少社会のロールモデルとなる八尾市がみられるかもしれません。

稲垣さん「そんなこと言いながら財布はからっぽですけどね。でもいいところまできたんで、がんばりたいです」

 

Writerfull-sato.com編集部
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