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スポーツの楽しさを届けたい!アクリル運動部に学ぶ公民連携(1)

スポーツの楽しさを届けたい!アクリル運動部に学ぶ公民連携(1)

ヒト:アクリル加工の会社
トコ:スポーツ振興に頭を抱える大阪府・八尾市
コト:イベント開催で“めちゃくちゃおもろい街”に

大阪府八尾市に、地域のスポーツ振興を一手に引き受ける団体があるらしい。その名も「アクリル運動部」。しかも今年は「八尾キメラ」なるイベントが大成功を収めたとか。スポーツなのにアクリル?キメラ?一体、そこにはどんな関係があるんでしょうか。謎多きアクリル運動部の正体に迫るべく、アクリル運動部代表の稲垣圭悟さんにお話を伺いました。

製造業の会社から生まれた まちのスポーツ振興団体

「アンパンマンみたいな顔でしょ(笑)」。

そう言って笑うのは、ちょっとコワモテだけど気さくで穏やかな稲垣圭悟さん。

さっそくですが、「アクリル運動部」とは一体なんなのか教えていただきましょう。

稲垣さん「『アクリル運動部』はもともと、共栄化学工業っていう樹脂(アクリル)加工業の会社から生まれた活動なんです。スポーツグッズをつくって販売しようとし始めたのが最初ですね。

いまはグッズ販売とかイベント開催を主要事業とした『アクリル運動部株式会社』っていう営利企業と、そのイベント企画運営部門が独立して総合型地域スポーツクラブとして誕生した『一般社団法人アクリル運動部スポーツクラブ』っていう非営利組織があって、その三つが絡み合いながら事業が進んでいます」。

母体がアクリル加工を行う会社だから「アクリル運動部」。ちなみに稲垣さんは、共栄化学工業の社長さんでもあります。それでは、アクリル運動部はどのような経緯で八尾市のスポーツ振興に関わっていくことになったのでしょうか。

きっかけはB.LEAGUEのスポンサー

稲垣さん「八尾市のイベントをやり始めたのは5年くらい前かな。(アクリル運動部株式会社を)立ち上げてすぐにやり始めた。当時はスポーツを普及するイベントが八尾になかったんですよ。各協会がやってる大会はあるけど。

で、B.LEAGUEが立ち上がったときに大阪エヴェッサのオフィシャルスポンサーになってくれという話があって。そのときにちょうどアクリル運動部株式会社を立ち上げる準備をしていたんです。正直当時はB.LEAGUEのことも全然知らなかったんですけど、会社立ち上げと同時に契約しました。

バスケの試合はアリーナでやるでしょ。その会場でイベントをやらせてほしいとぼくがチームに話を持ちかけたんです。毎試合ホームゲームではアクリル運動部がイベントを運営して、会場を盛り上げる一翼を担っていきましたね」。


▲大阪エヴェッサ 2017-18シーズン戦でホーム試合の際に行われた、ステッカーやプラスチックキーホルダーなどが当たるガラガラ抽選会。

大阪エヴェッサのホームゲームでのイベント運営を通して、プロのバスケットボール選手をもっと地域の子どもたちに会わせたいと思ったという稲垣さん。B.LEAGUEとは離れたところでもイベントを開催するようになります。

あるものを活かして、子どもたちが楽しめるイベントを。

稲垣さん「八尾にバスケットボール選手を呼んで何かイベントできないかと考えて、すぐに取り組みました。最初は場所がなくて、小学校の体育館をお借りしてすごく狭いところでやったりしてました。プロを引退した八尾市出身の選手を引っ張ってきて、ミニバスをやってる地域の小学生を彼に会わせたり。それでバスケットボールを好きになってもらって、どんどん上手になってもらえたらいいんじゃないかなと」。

まずは子どもたちにスポーツを好きになってもらうこと。そして、いまあるものを十分に活かすこと。アクリル運動部のイベント運営には、稲垣さんのそんな気持ちが色濃く表れています。

稲垣さん「ぼくらがやろうとしてるのは、スポーツをやってない子がいろんなスポーツにふれられる場所づくり。そんな環境を、廃校とか市の遊休施設とか、いまあるものをつかってつくろうというのが目的のひとつ。今から競技場を新しくつくるなんてことは考えられないし、あるものでやれることを考えたときに、そういう場所をつかって『イベントをやる』っていうところにたどり着きました」。

「八尾キメラ」で子どもたちがスポーツに出会うきっかけづくり

そんな思いを持ちながらさまざまな企画を実践してきたなかで、2021年に実現したのが「八尾キメラ」というスポーツイベント 。10種目以上の競技が揃うこのイベントでは、参加した子どもたちは一度にたくさんの競技を楽しむことができます。キメラは、ライオンの頭と⼭⽺の胴体、毒蛇の尻尾を持つと言われるギリシャ神話の怪物。子どものうちから多様なスポーツにふれる機会をつくっていきたいという思いを「キメラ」という言葉に込めたイベントなのです。

稲垣さん「コロナで他のイベントが取りやめになる中で、キメラだけはやりました。完全入れ替え制で。11種目そろえたんですけど、なかなか盛り上がって面白かったですよ。約280名を10分刻みくらいで回してました。はじめてのことでぼく自身もおそるおそるやってみたけど、アンケートには『丁寧に教えてもらえてよかった』というものも多かったし、忖度なく『面白い』といってくれましたね」


▲「完全予約制・子ども一人につき保護者は一人まで同伴可能」で開催された八尾キメラ2021。検温・消毒を徹底し開催された。


▲ダンスからトランポリン、バスケまで様々なスポーツが楽しめるイベントとなった

子どもたちからの反応は上々だったというはじめての八尾キメラ。コロナ対策には苦労もしながら、そのチャレンジには大きな収穫がありました。

稲垣さん「感染防止対策はめちゃくちゃやりました。それこそコンサートのセキュリティチェックくらいに(笑)。そんな中で市長もイベントを見に来てくれて、それは嬉しかったですね。キメラを開催するという話も、コロナの前だったら食いついてくれなかったかもしれないです。

コロナ前はスポーツイベントもたくさんあって右肩あがりだったけど、コロナで全てが吹っ飛んだ。地方のスポーツ会員の数がかなり危機的な状況になって、そういう状況も見越してこの企画を持っていったという経緯もあったりします。あとは、請負イベントだけやっててもしょうがないし、自分たちでイベントしてしまおうという状況でもありましたね。(コロナで)暇でしたし」。

活動をはじめてから5年間のうちに着実に実績を積み上げてきたアクリル運動部。その活動の意義は徐々に周囲にも認められ、今では行政や企業からも支援を受けながら八尾市のスポーツ振興の要として立ち回れるまでになりました。

後編では、アクリル運動部の活動と行政・企業との関係、そして稲垣さんがその先に見据える八尾市の未来についてレポートしていきます。

Writerfull-sato.com編集部
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