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さどが島

バーチャル佐渡金山で金鉱石を採掘!“あつ森”「さどが島」の舞台裏(1)

バーチャル佐渡金山で金鉱石を採れ!
“あつ森”に突如現れた「さどが島」の舞台裏(1)

お気に入りのインテリアで部屋を飾ったり、気の向くままに釣りをしたり。

2020年、任天堂より発売されたNintendo Switch専用ゲーム「あつまれどうぶつの森」はコロナ禍の巣ごもり需要も相まって、世界中で話題となりました。

昨年12月「あつ森」内に、日本のとある離島をモチーフにしたエリアが生まれたのはご存じでしょうか。

ゲームを通じ
”トキと共生する佐渡の里山”を知ってもらう

新潟港からフェリーで2時間ほど海を渡ったところにある、人口5万人の離島・新潟県佐渡市(佐渡島/さどがしま)。金山で栄えた文化・歴史と、豊かな自然、海の幸に囲まれ、現在は観光スポットとして愛されています。国の天然記念物であるトキが住む島としても有名です。

▲豊かな自然と海の幸に恵まれた離島・佐渡市

釣りもできれば山で昆虫採集もできる、まさに「あつまれどうぶつの森(以下、あつ森)」の世界観に限りなく近い場所。「『あつ森』の中に佐渡を作ってみよう!」というアイディアは、新潟県佐渡市・農業政策課から生まれました。

▲佐渡名物・田んぼアートを再現したエリア(上)と実際の田んぼアート(下)。農薬を減らして手作業で雑草を取るところまでも再現する

架空の「さどが島」を訪れると目に飛び込むのは、田んぼに描かれた大きなトキ! そう、佐渡の名物である「田んぼアート」です。実際の写真と見比べれば、再現度の高さがわかります。

この「さどが島」は「あつ森」の“島クリエイト”という機能によって作成されました。「あつ森」ではプレイヤーが誰でもオリジナルの島を作成可能。しかも、作成者本人だけではなく他のプレイヤーも、作成した島を訪れることができるのです。

ちなみに「あつ森」で新しい島を作った場合、来島者数は平均1,000人前後ともいわれています。しかし「さどが島」公開初日にはなんと約7,800名ものプレイヤーが来島。大きな反響を呼びました。

このプロジェクトを手がけたのは、佐渡市農業政策課の宇治美徳さん。そもそも、なぜゲーム内にお住まいの島を作ろうと思ったのでしょうか?

宇治さん:「佐渡が世界農業遺産(GIAHS)に登録されているということを、これまでのPR手法と違った『ゲーム』というコンテンツを通して発信する、というのが当初の目的でした。

佐渡は2011年、日本で初めてGIAHSに登録された場所。絶滅危惧種であるトキとの共生を目指した”生きものを育む農法”や、棚田などの美しい景観、そして昔から受け継がれている伝統的な農文化があることが評価されています。

しかし、この“GIAHSに登録されている”という認知度がなかなか上がらない。そこで、GIAHS認定から10周年を記念する2021年を目指し、島の観光名所を紹介する事業として、『あつ森』を活用したプロジェクトに取り組むことにしたのです。『あつ森』は子供から大人まで、幅広い世代に愛されるゲーム。佐渡の魅力を伝えるのにぴったりだと思いました。」

佐渡を訪れた人の「あるある!」を狙った
島づくり

島内には”トキと共生する佐渡の里山”をイメージした「田んぼアート」のエリアをはじめ、金の採掘地だった「佐渡金山」を再現したエリアなど、大きく4つのエリアが存在します。

巡れば巡るほど「佐渡ってどんな場所なんだろう?」と好奇心がくすぐられます。かなり細かく作り込まれているようですが、制作期間はどれくらいだったのでしょう?

宇治さん:「実は昨年の8月から、外部のサポートを受けつつ制作を始めていました。制作初期は島内を駆けずり回って写真を撮り、より佐渡の雰囲気に近づけるよう、試行錯誤しましたね。デザインや風景だけでどうしても再現できない部分は、既存のアイテムを使って演出するなど、工夫を重ねました。

例えば、北前船の寄港地として船乗りや船大工たちが生活を営んでいた港町・宿根木を再現したエリア。現実の宿根木集落内には三角形の特徴的な建物があるのですが、“あつ森”で三角形の建物は作成できません。そこで、実在する「塩」の看板をつけたり、塩の入った桶を置くことで、訪れたことのある人に『あるある!』と分かってもらえるよう工夫しました。

▲宿根木エリアにある「塩」の看板(上)と宿根木の看板。(下)町には船大工たちが住み、この建物では2008年まで塩が販売されていた。

また魚釣りや金の採掘など、“あつ森”には現実の佐渡に通じる遊び要素がある。そこで、実際に佐渡金山エリアでは金の採掘ができるようにするなど、“遊べる要素”を作ったことも、大きなポイントでした。」

▲江戸幕府を支えた「佐渡金山」では金鉱石をゲットできる。

およそ半年を費やして生まれた、再現度の高い「さどが島」。しかし宇治さんによると「公開10日前くらいが一番大変だった」のだとか。

いったい「さどが島」公開までの最後の10日間で何が起きたのでしょうか。来週公開される後編では、宇治さんから「さどが島」公開前後の舞台裏をお聞きします。

full-sato.com編集部
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