ヒト:日本ディスクゴルフ協会
トコ:誰もが楽しめるエコスポーツを開催したい地域の公園・自然
コト:ディスク1枚で年齢性別問わず盛り上がるサステナブルな競技
老若男女問わず楽しめることからプレイヤーが急増しているディスクゴルフ。コース設営と原状復帰が簡単なことから、公園やキャンプ場などでも開催できるエコロジカルな点も魅力です。そんなディスクゴルフにいま多くの地域が地元を盛り上げるスポーツのひとつとして注目をしています。そういった地域活性化とディスクゴルフの関係、そして実際の開催事例などについて、引き続き日本ディスクゴルフ協会の事務局長の横田浩さんと理事の諸岡通容さんにお話を伺いました。
ディスクゴルフによる地域活性化
日本ディスクゴルフ協会は日本全国に支部があり、それら各支部の主催で各地でトーナメントが行われています。そういった試合において遠征で参加するプレイヤーの皆さんは実に全体の約6割を占めているそう。その土地の郷土料理や特産品などを楽しみに観光を兼ねて参加する人も多く、遠くから来るプレイヤーと地元の方々との間に交流が生まれる機会も多いのだとか。
横田さん「公式戦は2日間の日程で開催されるので、遠征される場合は前泊する人が多いんです。2泊3日でどこを見てなにを食べようかと、やはり皆さん観光や地元グルメを楽しみにされています。ローカルプレイヤーと一緒にラウンドして交流が生まれることはもちろん、試合前日のプレイヤーズパーティなどで食事をともにし、さらに絆が深まることも。例えば沖縄の今帰仁(なきじん)村で開催される『沖縄オープン』などは、村の公民館を開放して村全体で迎えてくれるんですよ」
諸岡さん「生涯スポーツの国際総合競技大会『ワールドマスターズゲームズ』の一環として2023年5月に行われた『ジャパンオープン2023』は、福井県坂井市から、自治体としての誘致がありました。主にアマチュア向けのフレンドシップ大会は『坂井市海浜自然公園』で、プロ大会は『フクイカントリークラブ』での開催となり、国内外から500人規模の参加者を集めました。坂井市は、地元の祭への参加や地域の文化に触れるオプショナルツアーなどを用意。この試みは国内外のプレイヤーにおおいに喜ばれ、大会は大成功となりました」
協会もサポートして盛り上げを
他にもスキーリゾートのサマーシーズンに常設コースを置く例があります。新潟県の南魚沼市にある「舞子スノーリゾート」では、雪の無い時期には3コース27ホールからなる大規模な公認コースが設置されています。広大なスキー場ですから日本有数の飛距離があるコース設定となっており、2020年には日本選手権が開催されました。また福島県田村市の「グリーンパーク都路」は、クラフトビールのブリュワリーとアウトドアが融合した施設で、アルティメットとディスクゴルフ両方のコースがあり、アクティブなファミリーの人気を集めている好例です。
日本ディスクゴルフ協会はこういった成功例をテンプレートとして、各地域の特色に合わせた盛り上げ方を織り込んだ大会運営を目指していきたいそうです。自治体や団体から相談があればその地域の協会支部を紹介し、大会の運営ノウハウを伝えてサポートします。
横田さん「たくさんの方に来てもらうには、基本が大切です。コース設定や管理のノウハウはもちろんですが、自分が怪我をしない・他人に怪我をさせないという安全の確保や、競技マナーなども大切なポイントです。また、ディスクゴルフは入口の広さが魅力なので、あまりにも営利を目的とした価格設定は避けてほしいという点もお伝えしています」
いつかオリンピック競技に
ディスクゴルフはファミリーでも楽しめる競技であることから、次世代の子どもたちへの認知向上の施策にも余念がありません。
諸岡さん「各県の支部で積極的に未経験者向けの講習会や体験会を行っています。フライングディスクも貸し出しますので、身ひとつで来ていただいて大丈夫ですし、子どもからシニア世代まで皆さん大歓迎。お子さんを連れてきた親御さんが一緒に体験して、親御さんのほうが先にハマるパターンも非常に多いんですよ。一緒にプレイすることで絆も深まるので、ぜひファミリーで体験してほしいですね」
注目を浴びているディスクゴルフ、日本ディスクゴルフ協会として考える今後の展望はどのようなものでしょうか。
横田さん「今の目標としては3つを定めています。1つめは、さらに会員数を増やして協会の運営を強化していくこと。そうして力をつけて、2つめの目標である全都道府県に複数の公認コースを置き、さらに3つめの目標である複数大会を同日程で開催できるキャパシティとノウハウを育てることを、できるだけ早く実現させたいと考えています」
諸岡さん「もっと言うと、私たちの理想としてはいつかオリンピック種目になってほしいんです。オリンピックに採用されていない競技種目で世界のアスリートが競う『ワールドゲームズ』は別名『裏五輪』なんて言われているのですが、ディスクゴルフはそこでも大変人気があるんです。オリンピック種目となったテコンドーなどもここから火がついたことから、2028年開催予定のロスアンゼルス五輪には入るかもと期待していたのですが、今回は叶いませんでした。今後に持ち越しですね」
ただ単に今トレンドが来ているというだけではなく、エコフレンドリーで仲間との絆を育みやすく、かつ戦略的でスポーツとしての手ごたえやかっこよさに溢れたディスクゴルフ。コースごとに異なる様々な自然の魅力を楽しみながら、世代を問わず気軽に参加して楽しむことが出来るスポーツです。上手になったら各地に遠征するのも楽しみのひとつ。気になった方は、ぜひ一度体験会に足を運んでみてはいかがでしょうか。
- Writer二階堂ねこ
- https://twitter.com/nikaidoneko
奈良育ち、大阪の出版社勤務を経て、結婚を機に和歌山に移住。海のある街に猫と住む夢が叶ってごきげんな日々。猫記事から地域創生、医療記事まで、取材やインタビュー執筆をメインに活動しつつ、地域の魅力を発信したいフリーライター。